の火事に関する記述を引きます。(引用のさい、ふりがなは省略)
「七珍満宝、さながら灰燼となりにき。その費え、いくそばくぞ。」(p53)
しかし、人は火事の危険があるにもかかわらず、都に住居を密集させる。
「人のいとなみ、みな愚かなるなかに、さしも危ふき京中の家をつくるとて、財を費し、心を悩ます事は、すぐれてあぢきなくぞ侍る。」(p59)
後編でも火事にはたびたび言及。
「もし、狭き地に居れば、近く炎上ある時、その災をのがるる事なし。」(p127)
「たびたび炎上に滅びたる家、また、いくそばくぞ。ただ仮の庵のみ、のどけくしておそれなし。ほど狭しといへども、夜臥す床あり。昼居る座あり。一身を宿すに不足なし。」(p193)
以上です。