国語教育 東大入試から芥川龍之介、人間を考える

東大国語に出た

『反歴史論』(宇野 邦一):講談社学術文庫|講談社BOOK倶楽部

の著者 宇野邦一 - Wikipedia

宇野邦一『詩と権力のあいだ』現代思潮社

「親密で疎遠な阿呆―芥川龍之介」p62(原載は岩波の『芥川龍之介全集』月報、1997年8月)では、

芥川龍之介 歯車 (青空文庫、新字旧仮名)の

「妙に人間離れをしてゐるかと思へば、人間的欲望もずゐぶん烈しいし、……」
「善人かと思へば、悪人でもあるしさ。」
「いや、善悪と云ふよりも何かもつと反対なものが、……」
「ぢや大人の中に子供もあるのだらう。」
「さうでもない。僕にははつきりと言へないけれど、……電気の両極に似てゐるのかな。何しろ反対なものを一しよに持つてゐる。」

 

を引いた後に、

「芥川だけが、この時代にこのような二重人格の持ち主であったはずはない。しかし芥川の作品はこのような二重性をいたるところに表現しつつ、しかも二重性の根源を決してつきつめないまま二重性を持続している。芥川の心身は、この二重性に引き裂かれるばかりだった。」

とある。

 

『歯車』を読むと人間とは何か、ヒントが得られるかも。

以上です。