教採対策 教育の目的⑦ 役に立つとは?

内田樹氏は役に立つかを聞いてはいけない、とよく言っている。

役に立つことについての先人の意見をまとめておきます。

 

エミール・第3篇

(頁数は

世界の大思想 - Wikipedia   オリジナル版17のルソーから)

P178「あなたがたは、子供は小さいうちはおとなしく言うことをきくようにと望んでいる。それは、大きくなってから、信じやすく、だまされやすい人間になることを望んでいることになる。あなたがたは子供にたえずこんなことばかり言っている。「わたしがあなたに求めていることは、みんなあなたのためになるのですよ。ただ、あなたにはまだそれがわからない。わたしが求めていることをあなたがしようとしまいと、そんなことはわたしにはどうだってよいのです。あなたが勉強するのも、ただもうあなた自身のためなのですよ。」(下略)

p179

「「それがなんの役に立つのですか。」これが以後神聖な言葉となる。それは、われわれの生活上のあらゆる行動において、彼とわたしとどちらが正しいかを決定する言葉なのだ。これが彼のすべての質問に対して間違いなくわたしの方から発せられ、無数のばかけたくだらない質問を封じることができる質問なのだ。(略)だから、あなた方は、その後どんな提案をするにしても、彼もあなた方にならって、必ず、「それがなんの役に立つのですか」というだろう、と覚悟していなければならない。」

 

p180「さらに、彼がこれを学ぶか、あれを学ぶかということは大したことではなくて、自分が学んでいること、そして学んでいることの用い方をはっきりわきまえてさえいればよいのだから、あなた方が彼に言っていることについて、彼のためになる説明を与えてやる必要がなくなったら、説明はいっさいやめるがよい。遠慮せずにこう言ってやるのだ。「わたしはあなたにうまい答えをしてあげられません。わたしが間違っていたのです。その話はもうやめにしましょう。」あなた方の教えていたことが実際に的はずれだったとしたら、全然それを捨ててしまったところで不都合はないわけだ。また、もしそうでなかったとしたら、すこし気をつけていれば、やがてそれが役に立つことを彼に悟らせる機会もみつかるだろう。」

 

時代は飛んで、

福沢諭吉 学問のすすめ

初篇「されば今、かかる実なき学問はまず次にし、もっぱら勤むべきは人間普通日用に近き実学なり。

 

慶応義塾 編『修業立志編』,時事新報社,明31.4. NDLデジタルコレクション

修業立志編 - 国立国会図書館デジタルコレクション

51コマ p93「成学即ち実業家の説」

「むかしの学問は学問が目的にして、唯その難きを悦び、千辛万苦即ち千快万楽にして余念なかりしものなれども、今の学問は目的にあらずして生計を求むるの方便なり」

 

『経験と教育』(ジョン・デュ-イ,市村 尚久):講談社学術文庫|講談社BOOK倶楽部

第3章 経験の基準pp73-74

「もし学習の過程において、

個人がほかならぬ自分自身の魂を失うならば、

価値ある事物やその事物に関連する価値に対して批評する能力を失うならば、

さらにまた学んだことを適用したいという願望を失うならば、

とりわけこれから起こるであろう未来の経験から意味を引き出す能力を失うならば、

地理や歴史について規定されている知識量を獲得したところで、

また読み書きの能力を獲得したところで、

それが何の役に立つというのであろうか。」

 

うーむ、役に立つかを考えるべきか、役に立つとは何か、ますますわからない。

以上です。

おじゃる丸の小鬼トリオなら「今日の所はひとまず引き上げるでゴンス」というでしょう)